綿の原料である綿花は、世界中の国々で栽培されています。一般的に、木綿の繊維が長ければ、それから紡がれる綿糸は上質なものと成り、そしてその上質な綿糸からは上質な綿布が作られます。ところで、エジプト綿はその原産である超長繊維質の木綿が原料であることが特徴として知られていますが、それは他のいくつかの生産地のものに比べて特別であるとは限りません。ただ、エジプト綿の生産者たちは、そのブランドを確立するために長い時間と資金を費やしてきましたので、今ではエジプト綿が高品質の同義語となっているのです。

興味深いことは、世界の中でも綿花の産地として知られている主要5カ国は、その生産量の多いものから順にインド・中国・アメリカ・インド・パキスタン・ブラジルです。例えば中国は年間およそ2,550万梱(およそ6,000トン)の生産量を誇る一方で、エジプトはたった100万梱です。この数値を見れば、現在エジプト綿として世界中で販売されている綿が、正真正銘のエジプト産であるというのはおよそ不可能なのでは、ということは想像に難くないのではないでしょうか。実際のところ、例えばエジプト産として流通しているベッドリネンのような綿製品の大部分は、インドやパキスタンから輸入された綿花を原料にして、エジプトで製造されているのです。